アルペ神父による共同識別の核心ポイント

1. 現実を祈りのうちに読み取ることが出発点

下関のカトリック教会
Fr. Pedro Arrupe SJ (1907-1991)

アルペ神父は「現実は理念に勝る」と強調した。
共同識別とは、単なる議論ではなく、現実の中で働いておられる神の導きを見分ける営みである。

2. 共同識別はJRSの中心的な霊的姿勢

JRSの具体的な活動内容は、現場の状況に応じて共同識別によって決められるべきとされた。
使命は上から与えられるものではなく、共に祈り、共に聴き、共に決める中で形づくられる。

3. 状況は常に変化するため、柔軟性が不可欠

アルペ神父は「固定的な計画は不可能」と語った。
共同識別は、変化の激しい状況の中で聖霊の示す方向へと柔軟に応答する力を与える。

4. 全員が率直に語り、互いに深く聴く

共同識別では:

  • それぞれが自分の経験と感じたことを正直に語る
  • 他者の言葉を善意で受け止める(『霊操』注解22)
  • 必要であれば自分の意見を変える準備を持つ

これは一致を生むための霊的な「代価」である。

5. コーディネーターの役割は「聴くこと」

共同識別には、

  • 全員の声を丁寧に聴き、
  • 情報を整理し、
  • 決定の実行を支える

そのような聴く力に満ちた奉仕者が必要である。

6. 祈りが共同識別の土台

アルペ神父は繰り返し言った:
祈りなさい。たくさん祈りなさい。
複雑な問題は、人間の努力だけでは解決できない。
共同識別は必ず神の前で行われる。

7. 預言的な勇気と慎重さのバランス

善意の行動が不正義を助長する危険性をアルペ神父は指摘した。
共同識別は、

  • 預言的な大胆さと
  • 慎み深い識別(discreta caritas)

この二つを調和させる道である。

8. 貧しい人々の声を聴くことが不可欠

「神は弱い人々を通して私たちを呼んでおられる」とアルペ神父は語った。
難民は無力ではなく、力を奪われた人々である。
彼らの声に耳を傾けることが、正しい識別と正しい行動へと導く。

9. 多数決でも独裁でもない、聖霊に開かれた判断

共同識別は:

  • 多数決ではない
  • 一人の独断でもない

聖霊が共同体全体を通して語られる声を聴くプロセスである。

10. 最終決定はリーダーの責任

リーダーは:

  • 全ての声を聴き、
  • 祈りのうちに熟考し、
  • 最もふさわしい道を決断する

これは霊的リーダーシップの務めである。

11. 共同識別には時間が必要

急いではならない。
時間をかけて:

  • 聴き、
  • 祈り、
  • 内的自由を得て、
  • 一致へと導かれる

これが共同識別の本質である。

下関のカトリック教会

アルペ神父の共同識別の精神(要約)

  • 現実に耳を傾ける
    現場の出来事・状況の中で働いておられる神の導きを読み取る。
  • 互いの声に耳を傾ける
    仲間の経験・感情・洞察を尊重し、善意をもって受け止める。
  • 貧しい人々の声に耳を傾ける
    弱い立場に置かれた人々の叫びの中に、神の呼びかけを聴く。
  • 聖霊の声に耳を傾ける
    祈りの沈黙のうちに、共同体を導く聖霊の動きを識別する。
  • 祈り・対話・慎重さ・勇気をもって歩む
    祈りに根ざし、誠実な対話を重ね、慎み深く、同時に大胆に応える。
  • 自由と責任のうちに決断する
    内的自由を保ちつつ、共同体のために責任をもって最終的な決断を行う。

このまとめは、マーク・レイパー神父(SJ)が執筆した
「Pedro Arrupe and Discernment in Common: the Founding of Jesuit Refugee Service」
(『Promotio Iustitiae』第138号、2025年6月掲載)に基づいています。
原文は以下のリンクから参照できます。
Pedro Arrupe and Discernment in Common: the Founding of Jesuit Refugee Service – Social Justice and Ecology Secretariat

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