今日、あらためて彦島教会の守護聖人である聖ヨセフの祝日を心からお祝い申し上げます。典礼上の祝日はすでに過ぎましたが、聖ヨセフは教会全体にとって大切な守護者であり、また私たちの共同体の保護者でもありますので、この恵みをもう一度思い起こしながら、感謝のうちに祈りを捧げたいと思います。
先日の聖ヨセフのミサのあと、ある信者の方が「病気で苦しんでいる人のために、また家庭の平和のために、聖ヨセフに九日間の祈りを捧げたい」と言って、祈りの文を書いてほしいと頼みに来られました。その姿を見ながら、私はあらためて感じました。人は苦しみの中にあるとき、誰かに寄り添ってほしい、誰かに支えてほしいと願います。そして、聖ヨセフはまさにそのような人々のそばに静かに立ち続けてくださる方です。
聖ヨセフは、聖書の中で多くを語ることはありません。しかし、その沈黙のうちに、神への深い信頼と、家族を守るための強さ、そして弱い人に寄り添う優しさが満ちています。聖マリアの受胎を知ったときの戸惑い、エジプトへの避難の不安、貧しい生活の中での苦労…。聖ヨセフもまた、私たちと同じように悩み、恐れ、迷いを経験しました。それでも聖ヨセフは、神の声に耳を傾け、与えられた使命を静かに果たしていきました。
だからこそ、病気で苦しむ人、家庭の問題で悩む人、心が疲れている人は、聖ヨセフに安心して祈ることができます。聖ヨセフは、私たちの弱さを責めるのではなく、そっと寄り添い、神のもとへ導いてくださる方です。
長崎の「聖母の騎士修道女会」のシスター方の証しは、そのことをよく示しています。修道会が始まったばかりの頃、シスター方は経済的に大変厳しい状況に置かれていました。貧しい人々や病気の方、障がいのある子どもたちを受け入れるためには、どうしても施設が必要でしたが、資金も支援も足りませんでした。そこでシスター方は聖ヨセフに信頼を置き、九日間の祈りを続け、「もし助けてくださるなら、感謝のしるしとして聖ヨセフのための聖堂を建てます」と願いました。
すると、祈りのうちに、思いがけない寄付が届き、行政からの協力も得られ、必要な施設を建てる道が開かれていきました。今もその聖堂は静かに佇み、訪れる人に深い平安を与えています。聖堂の壁には、聖ヨセフの生涯を描いた美しい壁画が並び、祈る者の心を優しく包み込んでくれます。もし機会があれば、ぜひこの聖堂を訪れ、その素晴らしい絵画をゆっくりと眺めてみてください。きっと聖ヨセフの静かなまなざしと神の導きを深く感じることでしょう。
また、今回お願いを受けて、聖ヨセフに捧げる九日間の祈りを私も準備いたしました。病気の方、家庭の問題を抱える方、心に重荷を持つ方のために、どうぞ自由に用いていただき、霊魂の救いとなれば幸いです。
私たちの教会にも、病気の苦しみ、家庭の悩み、心の重荷を抱えている方が少なくありません。だからこそ、聖ヨセフの取り次ぎを願いながら祈ることには大きな意味があります。祈りは、状況をすぐに変える魔法ではありませんが、祈る心を通して、神が私たちの内側に光を灯し、歩む力を与えてくださいます。
きょう、あらためて聖ヨセフに祈りましょう。
静かに、しかし確かに私たちを支えてくださる守護者として、病気の人に癒しを、家庭に平和を、そして心に希望を与えてくださいますように。聖ヨセフの取り次ぎによって、彦島教会の一人ひとりが、神の愛のうちに守られ、励まされ、力づけられますように。
